ネタバレ感想「ジュリアの記憶」(15:53)失顔症を疑似体験できる驚きの仕掛け

観了「哀」

殺人事件の第一発見者アルフレッドは、人の顔が識別できない失顔症という障害をもっている。犠牲者との関係性から犯人として疑いがかけられるが、そこにはおもいもよらぬ真実が待ち受けていた。

15分53秒/監督:Hugo Keijzer

SAMANSA

主人公は失顔症のアルフレッド。
ペック刑事から圧をかけられても、しっかり受け答えをしていたところから、困難な障害を持っていても強く生きてきた芯の強さが見えます。

失顔症とはどういうものか、「たくさんの中国人がいる部屋で見分けがつくか?」という例え話をしていました。西洋の人たちから見たらそうなのかもしれない。私は以前K-POPにハマっていて、顔を見分けることが得意になった…

ー…そう、思っていた時がありました…!

なんと、作中でペック刑事の役者さんが3人入れ替わっていたことに気づいていませんでした!!
「あれ、こんな顔だっけ」とは思ったんですけど…暗くてよく見えないし、状況や態度が変わったからそう見えるのかなと自分を納得させていました。刑事が「わたしがペックだ」て言うし…!あまり疑わない性格なので、とりあえず信じてしまいます!!!

SAMANSA公式ツイッターを見て知りました…

本来は「いやいや顔違うがな」と確信していることにより、真の失顔症疑似体験になるんだろうな。
でも「こんな顔だっけ…」と常に感じる不安感も疑似体験したと言えるのかもしれない。

刑事が「プロソパグノーシア(失顔症)」と聞いて「フルーツサラダみたいだな」って言うんですよ。
日本語字幕に集中していたので、最初は英語では何て言ってたんだという疑問が大きくて気づかなかったのですが、視覚的な錯覚と聴覚的な錯覚を並べて、障害をわかりやすくするための会話だったのかなと感じました。(ところで単語似てるんですかね?)

もうひとりの主要人物、ジュリア(=ローラ)。
失顔症のアルフレッドの為に、17年も同じ髪型で同じ香水をつけていたという逞しさ。
アルフレッドにとって、湖にいたパーマヘアの女性がジュリアで、公園でお話していた金髪の女性がローラ。

他人になりすましてまで、また恋人になりたかったのね…
でもじゃあなんで今彼氏いるんだろう…?ストーカー…?まぁ色々あったのでしょう…。

刑事が、ローラの写真を見てジュリアと同一人物だと気づき、アルフレッドから「ローラと逢っている時、あの車(今彼の車)を見た」と聞いて、点と点が結ばれ捜査が進展。

アルフレッドが、刑事に渡されたジュリアの写真と持っていたローラの写真を並べ、パーツを見比べて同一人物だと分かり打ちひしがれるところで映画は幕を閉じました。

なんと…悲しい…
大事な元カノ友人と大事な今カノを同時に失ってしまったのね…
気づけなかった哀しみや、そんなにまで愛してくれていた人を失った哀しみ、そうさせてしまった障害の苦しさが増しただろうなぁ…

15分の中随所に仕掛けが施されていて、何度も繰り返し観て新たな発見をする楽しみがありました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました