ある女性が謎の部屋で謎の処置を施される。この女性は、人生で重要となる、ある「決断」をしに来たのだった。彼女の目的は一体なんなのか?その処置はどのようなものなのか?決して非現実的な話ではなく、現在アメリカで議論の的と鳴っている社会問題に深くメスを入れたSF作品。
7分46秒/監督:Cidnev Hue
SAMANSA
OVUM(オーヴァム)とは卵子のこと。
この単語を知っていたなら、作品のあらすじを読んでピンとくるものがあるかもしれない。
むしろ、このタイトルはテーマを察しつつ観てもらいたいという意思を感じます。
州法で、中絶したい女性を強制的に出産へ促す処置が強制されている世界のお話。
頭に電波信号をおくる装置を装着。
子供の成長を見守る幸せな映像を見せられます。
処置前に医者が「Facebookにログインして」と言って、近未来的透明パネルを見せるのですが、近未来的でもFacebookなんだなと興味深かった。昔からみんなの個人情報が載せられていることと、アメリカでは主流SNSだからかな。
データを元に、仮想世界をプログラムしているようです。
「手をあげたら処置中断します」っていう古から歯医者で使われていた言葉をかけられていたのですが、この処置で手をあげるの無理だし、できてもしないだろうな。
生まれた赤ん坊をつれてくる看護師。戸惑う女性に強引に抱っこさせます。
突然時間が飛んで、家で赤ん坊をあやす父親の姿が。
分かれたはずの彼氏もしくは配偶者がいます。優しそうな男性ですが、実際は問題が多い人だったのかもしれない。
また時間は飛んで、絵を描く幼女と、強制的に子供の側に居させようとする父親に挟まれた主人公は、ついに子供の名前を呼びます。
子供の名前を呼んだ瞬間、彼女の気持ちに少し変化が生じていたように感じました。
壁一面に貼られている子供が描いたと思われるイラストが。
犬を飼っている様子はなかったけれど犬の絵があったのは、もしかしたら彼女自身が昔描いた絵の記憶をFacebookから読み取られているからなのか、他の情報から寄せ集められたものだからなのかはわかりませんでした。
自転車に乗る練習をする娘。母親が応援した途端乗れるようになり、父親と一緒にはしゃいでいました。プログラムに誘導されていっているようです。
時は飛んで、3人でキャンプしている模様。娘がいることに幸せを感じ始めていたけれど「おばあちゃんのレシピよ」と言われ、なんで知っているのかと拒絶反応が強くなっていました。
もしかしたら彼女の母親はシングルマザーで、過去色々あったからこそ中絶を希望していたのかもしれないな…
現実世界で、処置を中断したかったら手をあげてと言われていた腕が下腹のあたりを抱きしめていて、切なかったです。
処置が終わって、答えは変わったか尋ねる医師。
妊娠を継続すると答えるまでこの処置は続けられるようです。
彼女は答えられません。
最後に表示される引用文。
「子を持つかの決断は、女性の人生と尊厳にも関わる。女性自身が決めるべきことだ」
by.ルース・ベイダー・ギンズバーグ
中絶の問題は一言では答えられないテーマだと思います。
長い映画だったなら、主人公がどうしたかまで描くかもしれません。
視聴した人自身に考えてもらう為に、ショートムービーで表現しているのはとてもテーマと合っているなと感じました。
中絶するかしないかは個人の判断に委ねるべきで、他人や法律で考えを強要されるのは違うと思っています。
配信サイト「SAMANSA」さんの公式noteでも詳しく紹介されています!
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